結局書くのに1時間かかりました/『青春のジョーカー』奥田亜希子

 30分で書きなぐります。

 

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 「みんなみんな、セックスに翻弄されて、ものすごく憐れだ」

 

スクールカースト下位の中学3年生が、愛猫・愛犬を愛でながらボーイミーツガールしながら青春するお話でした。

 

 読了後、読書メーターなんかを見て回るのも本を読む趣味の良いところだよなあと思っているんですが、その読書メーターで「こんなに妄想ばっかしてねえよ」、「女性から見る男子中学生像」なんて野暮なこと書いてありました。

 

おおむね間違ってないです。この歳になっても男って結構こういうしょうもない話出てきますし、目上の方からされる「結婚したほうがいいぞー」って話の切り口は、中高生の経験云々の会話と変わりません。おおっぴらに話すことでもなければ、回数も重ねるものではないから深化するもんではないんでしょうね。あれ、もしかしたら自分の周りだけかもしれないですけれど。

 

そんなもんだから、冒頭に引用した主人公の発したパンチ力のある吐露なんかは、すごく印象に残りました。ぶっちゃけこの歳になっても飲み会での話題には上がるし、将来のことなんか考えると少なからずくっついてくる事柄じゃないですか。んでもって、この本を読んでぽちぽちブログに書いちゃう自分みたいなのがいるのが証拠である気がします。そう、これが、繰り返される諸行無常で、蘇る性的衝動だったのかーと勝手に感嘆してます。

 

少し恥ずかしい話をすると、幾人かの人と「男ってそういうもんなのか、そんなもんなのか」と話したことがあります。真面目で素直な中学3年生が葛藤して思い悩んで、諭されても納得できない姿は、永遠のテーマであり謎と結論付けた幾ばくかの会話も思い出させられました。なんで俺に投げかけるねんと思いつつ言葉を憂慮し恥を忍んで答えたあの時の自分に、こんな本があるよと教えてあげたい。

 

 「もてない童貞は、たぶんこの世で一番悲惨な生き物だよ」

 序盤、大学に入学早々卒業した主人公の兄の言葉で、ツッコミどころ満載で、この一言で一記事書けるくらい広げられる自信はあるんですが、これ童貞を捨てた直後のリビドー、勝手に言葉を作るとネクストリビドーから発せられた言葉なんですね。確かに自分の中学時代を思い返してみると、「世界が変わった」なんて仰る人もいたなって思うんです。N君が男子トイレで言ってたなって。この男子の世界にある優劣をリアルに描写して、テーマに昇華していることが凄かったです。たしかに、中学2年生ころなんて童貞を捨てた同級生は一目置かれてました。

 

 30分で書きなぐるなんて言ってるうちに、45分くらいたってて、時が移り行くのはなんて早いんだろうと思ってます。そりゃ歳もとる。YouTubeZAZEN BOYSかけながら打ってて、気付いたらフジファブリック経由してアジカンソラニン。妙な青春推しで、また勝手にランダム再生に因果を感じています。この本、帯に「すべての青春オタクへ。」って書いてあって、そこに惹かれて購入して積んであったんですが、今このタイミングで読めてよかったかもしれないです。過去にとらわれてて色々めんどくせえなあと思っていた今日この頃だったんです。あと、自分が青春オタクだと気付けました。

 

 陰鬱な青春時代を過ごした人にも、カーストなんて意識したこともなかった人にも、そして「男ってセックスのことしか頭にねえのかよ」って思ってる女子大学生にも、オススメの一冊です。「京都の大学生」と迷ったんですが、こちらの曲を結びと替えさせていただきます。それでは。

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