『ブクロキックス』が面白い

 リアルな質感が凄く良い。

 

週刊ヤングマガシンで連載中の松木いっかさんが描く『ブクロキックス』が面白い。

 

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 全盲の主人公が、ブラインドサッカーの世界に誘われて、活躍するのか?というお話。主人公の背景が徐々に明かされていきそうな雰囲気と、異質な存在感がじわじわと漂ってくる雰囲気と。サッカーは世界中の人が知っているスポーツだけれども、ブラインドサッカーともなると広く認知はされていない。僕も、盲目の人もそうでない人も一緒になってできるサッカー、壁を使っても良いサッカーくらいの認知しかしていなかった。主人公もヒロインの勧誘を受けなければ、その世界を知ることもなかったかもしれない。

 

 ニッチなテーマに特化した漫画群に多いのは、解説と非リアルな世界観だと思っていて。解説はもちろん必要だが上長になりがちで、そこに没入できるかどうかに凄く関わってくると思う。非リアルな世界観というのは、コロコロコミックミニ四駆とかを想像してみてほしい。ミニ四駆を使って世界征服をする巨悪が現れて、少年がそれに立ち向かうようなやつ。それはそれで味わい深いし、フィクションとして成立させる上で必要だと思う。スポーツ漫画とかにもプロを諦めてダーティプレイを働くヒールが出てくるし。気の良いやつで真剣勝負をひたすらしていてもメリハリが無くなってしまうのだと思う。

 

『ブクロキックス』においては、玉帝新宿というチームが圧倒的頂点として描かれている。その玉帝新宿に勝ったら1,000万の賞金が得られるというフレコミで、各地域でブラインドサッカーが過熱しているという世界観だ。舞台は主に東京で、雑多な雰囲気とか、なんとなく存在している東京の土地に根付く雰囲気みたいなものも描かれていると思う。だから、リアルなのだと思う。

 

全盲の主人公が出会わなかったかもしれない世界で、今まで使うことのなかった才能を発揮させるかも。そんな一期一会をリアルな質感で味わえるのが面白い。